人とは違う犬の白内障治療の実際!

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犬の白内障とは?

飼育環境の改善によりペットの寿命は大きく延びています。
一方で人間と同じように加齢による疾患が生じます。
その代表が白内障といえます。
犬における白内障も人と同じく目がだんだんと白濁していき、視力の低下を招きます。
これは眼内でレンズの役目をする水晶体のたんぱく質が変性することで白濁し、やがて光を失ってしまう可能性もある恐ろしい病気です。

犬は目が見えなくても平気なのか

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犬は嗅覚や聴覚が優れており、視力を失っても案外平気で過ごせるとされています。
たしかに犬は人ほど視力に頼ってはいません。
白内障でもワンちゃんは臭いや音で飼い主の存在は分かるでしょう。
視覚を失うことで人ほど大きなハンディキャップは追わないかもしれません。

しかし、急に差し出した手に驚いたり、家具の配置を変わるとぶつかったり。
犬だって見えなければ不安なのです。

ある眼科専門の獣医師にお聞きした話ですが、飼い主の強い希望により15歳で白内障の手術を実施、成功させたわんちゃんは若返ったように走り回るようになり、亡くなるまでの数年間を元気に過ごしたそうです。

もっとも気がかりなのは目が見えないことで健康な部分が衰えてしまうこと。
「臆病になる」
「散歩に行きたがらない」
「元気がない」
白内障のわんちゃんにそのような傾向はないでしょうか。
飼い主と愛犬にとっても視覚はかけがえのないコミニケーションの手段です。
影響はけっして少なくありません。

≫ 犬の白内障の症状

愛犬に最善の白内障治療とは

犬の白内障治療は基本的に人と変わりありません。
国内での基本的な治療方針は根本的な治癒を目指す外科手術と進行をできるだけ遅らせる遅延療法の2つです。
ただし、犬の白内障手術は考えるほど簡単ではないのです。

外科的手術による白内障治療

白内障手術では白濁した水晶体を取り除き、代わりに人工レンズを入れます。
成功すれば劇的な視力の改善が見込めます。

カラーただし、犬は治療のために手術を行うことを理解できません。手術中目を開けておくこと、じっとしていること、術後にこすらないこともできません。
ゆえに人ならば日帰りも可能な白内障手術でも犬では全身麻酔の上、短くて数日、長ければ1ヶ月もの入院を必要とします。
また、術後にはかなりの期間、数種類の目薬を数時間おき点眼する必要があります。

これはワンちゃんにとっては大変なストレスといえます。
まだ若ければ外科的手術を第一に考えてもよいのかもしれません。
しかし、高齢の場合は心臓や腎臓など他の疾患を抱えていることも少なくありません。
麻酔自体が大きなリスクとなってしまい、現実的に手術は難しいケースが多いのです。
人よりも圧倒的に発生率が高くなる予後不良についてのリスクもあります。

高額な費用に手術をあきらめざるをえない飼い主さんも多いことでしょう。
≫ 犬の白内障手術について

白内障進行防止点眼薬

犬の場合の現実的な処置として、ピレノキシンを主成分としたライトグリーンなどの目薬を用いて白内障の進行を遅延させるという方法があります。
しかし、これは白内障を治す、あるいは衰えた視力を回復させるといった治療ではありません。現状維持が最高の結果であり、その効果も残念ながら非常に限定的という評価が多いのです。
≫ ライトグリーンについて

革新的な目薬による白内障治療

dr-Markbabizaefu犬の白内障におけるもうひとつの選択肢が非加水分解カルノシン点眼薬による治療です。

ロシアのマーク・バビザエフ博士により研究開発されたこの点眼薬は欧州ではすでに人において2005年くらいからCAN-C・クララスティルという名称のOTC医薬品として使用実績があり、EUでは安全規格CEマークを認可、2010年9月にはアメリカ特許取得されています。
白内障への治療効果が期待できる点眼薬とされ、手術が難しい犬の白内障治療にも注目されています。

これまで白内障は進行を遅らせることはできても、外科的手術以外では治すことは不可能とされてきました。この点眼薬はロシアでの10年におよぶ臨床試験において90%の視力改善・50%の透過率改善という結果が発表されています。
そして、イヌ科やウサギ科などの加齢性白内障にはとりわけ効果が高いとされています。

ただし、人における白内障治療は完全に手術療法に移行しています。
このカルノシンについての積極的な治験は行われていないのが現状です。
また、OTC医薬品はあくまで一般用医薬品です。
EUでのCEマークやアメリカ特許取得も安全面の基準であり、白内障治療薬としての効果を保証しているわけではないのです。

それでも改善したという実際の声もあります。
なにより、副作用が報告されていないこの目薬は「手術ができない」場合に検討してみる価値はあるでしょう。

≫ カルノシン目薬について

何もしない

これはこれで勇気のいる選択です。
しかし、とくに高齢犬の場合、少なくとも治療による新たな負担はありません。
もちろん散歩や家の配置、生活リズムなど、飼い主として工夫できる点はたくさんあります。
また、緑内障には注意が必要ですので、最低限の受診と緊急時の対応はいつも頭に入れておく必要があります。
「できるだけ側にいてあげる」
「穏やかに過ごさせてあげる」
この選択肢が犬にとっても最良の選択であることもあるのです。