犬の白内障手術

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犬の白内障手術

近年、白内障の外科的手術による治療は大変な進歩を遂げており、成功すればほぼ完全な視覚の回復が見込めます。
しかし、白内障手術はけっして簡単なものではありません。
とくに犬の場合は人よりもかなりのリスクを背負うことになります。
自分の意思を主張できないワンちゃんの白内障では飼い主がこれらをよく理解して臨む必要があります。

犬の白内障の手術方法

基本的に人と同じで水晶体嚢という眼内レンズを収める袋をごく小さく切開して、超音波で白濁した水晶体を粉砕して取り出します。
中をきれいに洗浄した後、人工の眼内レンズを挿入します。

外科手術適用できないケース

全身麻酔
人では目薬での局部麻酔で済む白内障手術も犬では全身麻酔が必要です。
まず考えなければならないのは愛犬が全身麻酔に耐えうる状態にあるかということです。
麻酔処置が原因の死は0.1%とされています。
また、腎臓や心臓、内分泌器官に問題がある場合は基本的に全身麻酔は行えません。
白内障が老齢性のものが多いことを考えると、この点で手術を諦めざるを得ないワンちゃんは非常に多いことでしょう。

また、一口に白内障といっても濁りの部位などによりさまざまな種類があります。網膜の状態よっても手術が適用できない場合もあります。

手術のリスク

手術中の危険性としては後嚢破損や駆逐性出血が挙げられます。後嚢破損はレンズを収める水晶体嚢が弱く破けてしまうことですが、この場合はレンズを直接縫合するなどして対処します。

駆逐性出血は超音波粉砕による水晶体の除去方式では少なくなったようですが、手術中に目の奥から突然出血が起きるもので、失明は免れない恐ろしいものです。

手術の成功率と術後の合併症

設備の整ったところでは手術そのものは90%近い成功率を実現する動物病院もあるようです。
しかし、犬の白内障では実に50%近くが術後になんらかの合併症を引き起こすとされています。
もちろんこの数字は軽微なものも含んでおり、適切な処置を行うことで改善できるものもあります。
しかし、失明に繋がる深刻な合併症もあります。

白内障手術におけるおもな合併症

術後感染性眼内炎
水疱性角膜症
眼内出血
眼圧上昇
網膜剥離・損傷

犬種により術後合併症の発症が多いとされているようでこれらの犬種ではリスクとして考慮する必要があるでしょう。

A・コッカー
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プードル
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キャバリア
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ラブラドール・レトリーバー
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術後に注意すること

犬の白内障手術の成功には飼い主の十分なケアが必要です。
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目をこすらない
殴打などで目に衝撃を加えない
処方された点眼薬・飲薬を指示どおり使用する
恒久的な目の定期検診

治療の意味を理解できないワンちゃんでは飼い主が責任を持ってケアする必要があります。
また、ワンちゃんも術後2週間のエリザベスカラーと入院精神的にもこれに耐えなくてはならないのです。

大学の動物医療センターの先生にお聞きしたところ、将来的な意味合いも含めて成功したといえるのは60%程度だとお聞きしました。
その成功率の中で犬にとっては手術は大変なストレスを掛けることになります。

再発の可能性

手術後になんらかの理由により、眼内レンズを入れるために残した嚢自体が白濁するという症状が発生する場合があります。これを後発白内障と呼び、再発と表現される場合もあります。人の場合は視野に掛る部分の嚢をレーザーで除去するという方法で比較的容易に治療できるようですが、犬の場合は簡単ではありません。

手術費用

犬の白内障手術を敷居の高いものにしているもうひとつの原因は高額の費用があげられます。
手術自体の費用や入院費や点眼薬などの薬剤でおおよそ片目で30万〜40万が相場のようです。
愛犬がどれだけ大切であっても、これだけの金額をねん出するのが難しい飼い主も多いとことでしょう。

成功すれば劇的な回復が見込める反面、人にとっては日帰りが可能な簡単に思える手術であっても、犬にとっては大変なリスクも伴います。
評判のよい眼科医の検診も受けた上で本当にワンちゃんのためになる選択をしてあげてください。